信濃毎日新聞 4月27日
北京五輪の聖火リレーは26日、長野市内の18・7キロのコースで行われ、80人のランナーが聖火をつないだ。途中、ランナーに向けてものが投げられたり、コースに人が飛び出したりする妨害行為が相次ぎ、5人が威力業務妨害の疑いなどで逮捕された。沿道では中国国旗を振る中国人らとチベット問題に抗議する人々らの間で衝突や小競り合いが多発し、4人がけが。聖火は混乱の中、予定より約15分遅れの午後零時半すぎに若里公園に到着し、リレーは終了した。
聖火は午前8時26分、北京五輪野球日本代表の星野仙一監督がトーチを掲げて県勤労者福祉センター跡地を出発。ランナーは、白いジャージー姿や制服の警察官ら約100人に囲まれながら長野駅前、長野運動公園、休憩地点のエムウェーブ、ビッグハット周辺などをリレーし、北京五輪女子マラソン日本代表の野口みずき選手が若里公園にゴールした。
若里公園で行った到着式では、関係者が見守る中、簡易聖火台に点火された。
長野駅前では走者のタレント萩本欽一さんが通過する際、沿道からビラの束などが投げ込まれ、県警はビラを投げた男に任意で事情を聴いた。コースに飛び出した別の日本人の男を現行犯逮捕。卓球の福原愛選手が走った同市柳町ではチベットの旗を持って飛び出した外国人の男が現行犯逮捕され、南長池では袋に入った卵を投げてコースに飛び出した日本人の男が逮捕された。栗田北中でも男が飛び出し、取り押さえられた。
長野駅前には早朝からリレーを応援する中国人留学生らとチベットの自由化を訴えるグループなどが集結。一部でつかみ合いになり、警察官が割って入った。午前7時前には中越の交差点で中国人グループと日本人のグループがもみ合いになり、中国人とみられる1人が顔にけが。吉田5丁目でももみ合いで1人がけがをした。
午前10時半すぎには長野駅東口で中国人グループとチベットを支援するグループの数十人がつかみ合いになり、乱闘騒ぎに。中国人とみられる2人がけがをした。
リレー休憩地点のエムウェーブでは、運ばれた聖火を一時ランタンに移して市民らに見せる計画だったが、中国側がトーチの火をいったん消してそのままバスに運び、披露されなかった。
(長野県、信濃毎日新聞社)
厳戒態勢の長野市で26日行われた北京五輪の聖火リレーは、コース沿いに集まって国旗を振る中国人らと、チベット旗を掲げる支援者らがあちこちで対峙(たいじ)し、出発前から小競り合いが起きた。怒号が飛び交い、聖火ランナーめがけて物が投げ込まれ、逮捕者が出た。「平和の祭典」からは程遠いイベントになった。
出発から15分、約100人の警察官が取り囲む聖火ランナーの一団がJR長野駅前に差しかかったとき、にこやかに走っていた萩本欽一さんに向けて、紙やペットボトルのような物が投げ入れられた。警察官が沿道に出て、もみ合いの末に日本人の男1人を連行。直後には男がコース上に出ようとして現行犯逮捕され、一気に緊迫した。
卓球の福原愛さんのリレー中にも、「フリーチベット(チベットに自由を)」と叫びながら外国人の男がコースに飛び出し、警官に地面に組み伏せられた。近くに店を構える60代の男性は「まさか日本で騒ぎが起きるなんて」。
さらに1時間半後、栗田の長野朝日放送(ABN)前では、中国人とみられる男性が頭を殴られてけがを負い、救急車で運ばれた。15人から20人ぐらいの集団が、中国国旗を女性から奪い取ろうとし、女性を守ろうとした男性を鈍器のようなもので殴ったという。ほかにも各所で中国人男性がけがをする小競り合いが続いた。
人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナル日本は「五輪前に人権公約を守れ」などと記したプラカードを掲げ、中国国旗を持った中国人らに「あなたたちはだまされている」と詰め寄られる場面も。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の外国人メンバーは、手錠の絵で五輪マークをあしらった旗を大門交差点付近で無言で広げた。
中央通りの権堂アーケード入り口付近では、応援を終えて移動していた中国人ら数十人と、チベットの旗を掲げた数人がもみ合い、中国人とみられる男性がチベットの旗を踏み付けた。旗を踏まれた男性は日本語で「暴力はいけない」。
長野駅前では、ランナーが通過して2時間たっても数百人がにらみあった。警官越しに「フリーチベット」「ワンチャイナ(中国は1つ)」の怒鳴り合い。通り掛かった若い女性は「買い物に行きたいのに怖くて足が止まってしまった」とおびた。
一方、前夜からバスに乗って訪れた中国人留学生や中国残留孤児の帰国者は、「中国頑張れ、日本頑張れ、長野ありがとう」などと冷静に応援。学生たちは「各国の友好と平和のために来た」と話した。
沿道を埋めた中国人から何度も「おはようございます」とあいさつをされたという長野市西和田の会社員、松井浩和さん(45)は「一部には過激な人もいるらしいがほとんどの人はにこやか。仲良く応援し合えて良かった」と話していた。
(長野県、信濃毎日新聞社)
聖火リレーコース沿いの騒がしさをよそに、出発地を辞退した長野市の善光寺では、リレー出発式の開始時刻に合わせて午前8時15分から、チベット暴動の犠牲者を追悼する法要が静かに営まれた。
把握できたチベット民族、漢民族双方の犠牲者の名前と年齢が読み上げられる中、30人余の僧侶が本堂内々陣で読経。在日チベット人も含む約400人の一般参加者が両手を合わせて祈りに加わった。リレーを追うヘリコプターの音が本堂内にも聞こえてきた。
チベットの旗を携えて和歌山市から夫と中学3年の娘の3人で参加した女性(46)は「読み上げられる名前を聞いて、多くの方が亡くなられたことをあらためて感じた」。東京都のヨガ講師の女性(40)は「手を合わせながら『争いのない、落ち着いた世界をください』という思いが自然にわき上がった」と話した。
この法要は、県民有志の「チベット問題を考える長野の会」と、善光寺の住職らでつくる「平和を願う僧侶の会」が「日本中の人が注目している時間に平和の思いを届けたい」と開いた。
これに先立ち、善光寺近くの西方寺でも、午前5時すぎに首都圏から到着した在日チベット人ら約30人を本堂に迎えて追悼法要が営まれた。
(長野県、信濃毎日新聞社)
まるで笑う骸骨(がいこつ)−。松本市中川の会社員中原昌良さん(47)の自宅庭先で、腹部が人の顔のように見えるクモが見つかり、不気味さに一家は騒然となった。
体長は約1センチで、切れ長の「目」の赤さが際立つ。このようなクモは見たことがなく、「(毒グモの)セアカゴケグモのような外来種では?」。中原さんは恐る恐るペットボトルに閉じ込めた。
安曇野市の三郷昆虫クラブの世話人、那須野雅好さん(48)によるとハナグモ。模様はさまざまだが、全国に生息し、花に集まる虫を捕まえるという。中原さんは「ホッとした。それにしてもユニークな『顔』…」。
(長野県、信濃毎日新聞社)
信州短大(佐久市)や軽井沢観光協会などは25日、北佐久郡軽井沢町内の交通渋滞と佐久地方の広域観光の情報をセットにし、携帯電話向けに配信する新事業を近く始めると発表した。同町内の道路は大型連休や夏の観光シーズンに大渋滞する日が少なくないため、観光客にまずは渋滞を避けてもらい、佐久平全体の観光地へ誘導しようという試みだ。高速道のサービスエリアなどで2次元バーコード(QRコード)を通じて情報を入手できる。
軽井沢駅近くのアウトレットモール「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」へ向かう車で、町内はお盆などに特に渋滞。上信越道の碓氷軽井沢インターからモールまでの10キロほどが、車で2時間以上かかる時もある。地元は「何とか渋滞を減らしたい」と悩み、周辺市町村の観光関係者は「渋滞している車の中に観光客がいる時間はもったいない。軽井沢以外の観光地へも足を向けてもらうようにできないか」と考えていた。
県佐久地方事務所とともに対応策を検討。携帯電話への情報配信事業を展開することにし、佐久地方の市町村の商工団体や観光協会も参加して「佐久平情報特急推進協議会」を結成した。配信システムの構築を信州短大が担当した。
携帯電話でQRコードを読み取ると、専用ホームページにアクセスできる。交通情報は、軽井沢町生活環境課などの協力で、碓氷軽井沢インターから軽井沢駅までの所要時間を表示。1日に数回更新する。「佐久平おすすめルート」「観光スポット」といった項目も設け、佐久平全域の観光施設や飲食店の情報を提供する。
QRコードを大きく印刷したポスターを東京、埼玉、群馬などの高速道サービスエリアに張り出すほか、県内外でチラシを配りPRする。大型連休中に情報提供を本格的に始め、内容は順次、充実させる。協議会代表に就いた中藤保則・信州短大副学長は「軽井沢を訪れる人の満足度を高め、佐久平全体をより知ってもらうきっかけにしたい」と話している。
専用ホームページには既にアクセスできる。アドレスはhttp://si1.jp/n/
(長野県、信濃毎日新聞社)
県は25日、2007年度に退職した課長級以上の職員109人の再就職状況を公表した。69人が再就職し、うち19人は、下水道公社など県の12外郭団体が就職先だった。県の入札資格のある企業への再就職はなかった。
県は個人情報保護条例を根拠に、本人が同意しない場合は再就職先を公表しない対応を取っているが、人事課によると今回は全員が公表に応じた。同課は「原則公開とする方針について理解が得られた」としている。
外郭団体への再就職は昨年度より2人増。内訳は、県下水道公社、県建築住宅センターがともに3人、県信用保証協会と県建設技術センターがともに2人などだった。04年度までは20人を超える外郭団体への再就職が続いていたが、県の外郭団体見直しによる団体の統廃合、県関与の縮小などの影響で「全体的には縮小傾向にある」(人事課)という。
一方、民間への再就職では、県の入札資格を持つ企業はなかったが、県建設業協会や県測量協会など建設関連の業界団体に再就職したケースが複数あった。
調査は4月時点の再就職先が対象。同課によると、就職していない40人のうち数人は本年度内に就職する予定があるという。
(長野県、信濃毎日新聞社)
東御市長選で初当選し、25日就任した花岡利夫市長は、同日までに信濃毎日新聞の取材に応じ、市が昨年制定した青少年健全育成条例に、18歳未満への「みだらな性行為」を禁じる県内初の淫行(いんこう)処罰規定が盛られた点について「議論が少ないまま、安易に追加された」との受け止めを示した。条例の見直しを求めている県弁護士会と今後、話し合う考えも明らかにした。
一方、表現の自由を侵しかねないとの指摘がある「有害」図書類の指定については、成人向け自動販売機の規制に有効−としつつ「何をもって有害とするかは難しい」と述べ、慎重な運用のため警察とも協議するとした。
花岡市長との一問一答は次の通り。
−昨年施行された市青少年健全育成条例への見解は。
「市内には成人向け自動販売機が多く、民間の撤去活動が進まなかったことから条例を求める機運が高まってきた。私自身も条例はやむを得ないと考えてきた。ただ、淫行処罰規定はかなり安易に追加されてしまったのではないか。規定の功罪について議論し、世論の熟成に費やす時間が少なかった」
−規定の問題点についてどう考える。
「青少年への性行為を禁じるのは一見正しく思えるが、公権力の恣意で恋愛感情が規制される危険性はあると感じる。道徳的な側面に踏み込む性格を持っており、県弁護士会からも批判的な見解が出ている。本来なら専門家の意見を積み重ね、慎重に考えるべきだった。県のスタンスや過去の判例などを勉強し、弁護士会とも話し合いたい」
−「有害」図書類の指定についての見解は。
「自販機を減らすには有効だが、何をもって有害とするのか、運用は難しい。わいせつ性をめぐる価値観は時代によって変化してきたこともあり、慎重な運用でなければならないと感じている」
−弁護士会などの意見を踏まえ、条例を見直す考えは。
「人々を規制する『律』よりも、内面に育つ『徳』を重視すべきだというのが私の姿勢だ。ただ、就任したばかりで、公約した市民病院の産科新設など課題が山積している。条例は既に運用が始まっており、いま見直しを考えているわけではない。拡大解釈を招かないよう、市の担当部署や青少年健全育成審議会、警察とも協議していきたい」
(長野県、信濃毎日新聞社)
下伊那郡阿智村昼神温泉郷の恩出(おんだし)地区の旅館6軒でつくる「恩出の会」が、歩いて楽しめる温泉郷の新名所にと、「恩出三尊仏」を地区内に建立し、26日に開眼式を開く。三尊仏は「ぐち聞き地蔵」「ぴんぴん観音」「ころりん如来」。縁結びの仏とされる愛染明王(あいぜんみょうおう)の石碑も建てた。「ストレスを解消して、健康と安らかな最期を願い、恋愛も成就するスポット。お年寄りから若い人まで来てもらえると思う」と、代表の上原政起さん(71)。
(長野県、信濃毎日新聞社)
長野中央署は25日、リレー出発地の県勤労者福祉センター跡地近くで刃物を所持していたとして、銃刀法違反の疑いで、住所不詳、いずれも自称の僧侶、秋田泰嶺容疑者(47)を現行犯逮捕した。「聖火リレーに抗議する」との文書を持っていたという。県警の聖火リレー警備本部によると、長野市でのリレーに関連する初の逮捕者となった。
調べによると、秋田容疑者は同日午後5時40分ごろ、リレーのルート上に当たる長野市西長野の信大教育学部南側歩道で、刃渡り約30センチの刃物1本を持っていた疑い。白装束姿で「死んでやる」などとわめき、手から血を流していた。けがは軽傷。自殺を図った可能性もあるという。
この日はインターネット上に「(26日に)長野駅を爆破する」といった書き込みがあったことも判明。県警の聖火リレー警備本部もこうした情報を把握、聖火が置かれた駅前のホテルなどを中心に終夜、警戒を強めた。市街地に流入する車両のチェックも続けた。
また、聖火を管理する「フレームアテンダント」の人数をめぐり、中国大使館側が予定の2人よりも増やすように要請、長野市実行委員会、県警との間で交渉が続いた。
街の緊張感も強まり、長野駅につながる商業ビルの運営会社(長野市)は、26日の聖火リレーで混雑する時間帯を避けるため、テナント7店舗に営業開始を遅らせるよう通達、各店が応じた。
(長野県、信濃毎日新聞社)