信濃毎日新聞 4月10日
金融支援を受けて事業再生を目指すアルピコグループ(松本市)は9日までに、松本電鉄(同)が運行する生活路線バスについて、松本市内を中心に赤字路線廃止や運賃値上げに踏み込む必要がある、との判断を固めた。近く関係自治体に協議を要請する。諏訪バス(茅野市)についても、赤字補てんやデマンド交通への切り替えといった対応で、一層の協力を自治体側に求める方針だ。
グループに出資する投資会社リサ・パートナーズの子会社「フロンティア・マネジメント」(東京)の大西正一郎社長は取材に対し、自治体などとの調整が整った路線から、順次、運行などを見直す考えを示した。
バス事業の改善計画はフロンティア社と、グループの松本電鉄、諏訪バス、川中島バス(長野市)、貸し切りバス事業のアルピコハイランドバス(松本市)の4社で作成中。改善手法としてはほかに、便数削減、グループのタクシー会社によるデマンド交通導入などが挙がっている。
松本電鉄の路線バスについては、昨年11月から今年2月にかけて平均乗車密度を調査。路線ごとのコストを詳細に把握した上で、14日に開く臨時株主総会後、松本市との協議に入りたい考えだ。
(長野県、信濃毎日新聞社)
長野市西長野の旭山北側のふもとにあるカタクリ群生地で、今年も紫色の花が一面に咲きそろい、見ごろを迎えている。穏やかな日が差した9日は、下向きに咲く数センチのかれんな花を写真や絵の対象にしたり、弁当を食べながら眺めたりする人が後を絶たなかった。
近くの加茂小学校が児童会を中心に続けるカタクリの保護活動は、すでに15年を数える。この時期は清掃のほか、地域を学ぶ教材として観察やスケッチなどに、連日子どもたちが訪れている。
同小とともに群生地の整備に取り組む地元有志の「カタクリ愛好会」は、12、13日に「カタクリ祭り」を開く。湯茶の接待や菓子の販売などを行い、近くの里島発電所内部も公開する。宮下賢治会長(64)は「雪が多かったので花は1週間ほど遅れているが、まだ十日は楽しめそう」と話している。
(長野県、信濃毎日新聞社)
道路特定財源の暫定税率失効で、ガソリンにかかる揮発油税と同様、自動車取得税も4月から税率が下がった。自動車を買って車両登録する際にかかる税のため購入を勧める好機にも思えるが、自動車販売各社は二の足を踏んでいる。車両登録まで1カ月以上かかることもあり、今月中に暫定税率維持を盛り込んだ税制改正法案が可決され、税率が元に戻った場合、顧客をがっかりさせかねないからだ。
長野市の会社員男性(44)は暫定税率失効前の3月半ばごろ、市内の自動車販売店で新車を269万円で買う契約を結んだ。4月に車両登録する予定で納車を待っていると、2日に販売店から電話があった。「暫定税率が失効したので税金は5万8000円安くなります」
失効によって税率が5%から3%に下がっているためで、男性は「驚いた。浮いた分でタイヤを買います」と思わぬ値下げを喜んだ。ただ、契約時には暫定税率についての説明はなかった。
その理由を市内の別の自動車販売店長は「いつ税率が元に戻るか分からないから、積極的に売り出すことができない」と説明する。車両登録に1カ月以上かかる車種もあるといい、4月中に税率が元に戻れば、少ない税負担を見込んで買ってもらった分、期待を裏切ってしまう−と腰が引けるためだ。
暫定税率の期限切れ後、1日に数件、税率について問い合わせがあるという販売店もある。しかし「今月中に登録が可能な車は今がお得と説明できるが、税率の今後の行方がわからず、売りづらい」(飯田市の自動車販売店)など、多くの店は販売攻勢をかけられないでいるようだ。
一方、自動車取得や車検の時に払う自動車重量税は1カ月遅れの4月末に失効時期を迎える。現在の暫定税率は普通乗用車(自家用)の場合、車体重量0・5トンにつき年間6300円。それが失効後は2500円と6割も安くなり、長野市で車両整備も行う中古車販売会社の社長(58)は「税負担が軽くなる5月まで、車の購入や車検を控える動きも出てくるのではないか」と予測する。
ただ、自動車重量税も、暫定税率がいつ復活するかが悩みの種。顧客に出す車検の案内で、5月以降、税率が下がる可能性を伝えるべきか、伝えない方がいいのか、どちらにせよ顧客の期待を外しかねない。この社長は「一番困るのは先が見えないことだ」と言い、はっきりしない税制改正法案の国会審議の行方に苦々しい表情を見せた。
(長野県、信濃毎日新聞社)
県厚生連佐久総合病院(佐久市臼田)の再構築に向け、県農協グループは25日の中央会理事会で「高度医療体制再編促進会議」(仮称)の発足を決める。病院側と佐久市で土地利用や病院の役割などで見解がかみ合わず、具体的な協議に入っていない状況下、農協全体の問題として位置付け、グループを挙げて再構築推進に取り組む構えだ。
再構築計画は、救命救急やがん診療など高度専門部門を「基幹医療センター」として分割移転し、臼田の現在地には一般診療を担う「地域医療センター」を再整備する。05年に佐久市中込の工場敷地に13ヘクタール余を購入したが、佐久市は「都市計画法の工業専用地域にあり、用途変更するつもりはない」としている。
中央会によると、再編促進会議は信連、共済連などの理事長・本部長、佐久浅間農協など県内20農協組合長ら約30人を予定。計画の経過と現状を理解して具体的行動を検討、ほかの厚生連病院の体制見直しも考える。
佐久総合病院は厚生連10病院の収益全体の7割を占めている。2006年度決算では4病院が赤字だったが、同病院の収益で穴埋めし、全体で3億円余の黒字を出した。若林甫汎(としひろ)厚生連理事長は「佐久総合の経営が傾けば厚生連病院全体が傾く」とし、小松正俊・中央会参事は「施設整備面で信連などから貸出金もあり、経営安定化は農協全体の問題だ」としている。
(長野県、信濃毎日新聞社)
小諸市の宗教法人「紀元会」施設内で昨年9月に起きた集団暴行事件で、死亡した同市荒町2のすし店経営奥野元子さん=当時(63)=に対する傷害致死と犯人隠避の罪に問われた、夫ですし職人の和宏被告(35)と長女の森久里子被告(38)の論告求刑公判は9日、長野地裁(土屋靖之裁判長)で開き、検察側は2人にそれぞれ懲役5年を求刑した。判決は10日。
森被告については元同会責任役員の窪田康子被告(50)=元子さんへの傷害致死罪などで起訴=らとの事前の共謀が成立するかが争点。検察側は「集団リンチを加えられると知りながら被害者を連行し、自らも暴行を加えている」と主張。その上で両被告に、「肉親の情より窪田被告の独善的かつ野蛮な命令を優先させ、警察官にうそもついた。無抵抗の被害者の苦痛は筆舌に尽くしがたく、自己中心的で打算的な動機に酌むべき事情はない」などと述べた。
一方、最終弁論で、森被告の弁護側は共謀の成立は暴行に加わった時点であり、元子さんの死因とも関係ないと主張。加わった動機も「暴行に終止符を打たせるため」とした。和宏被告の弁護側は「暴行に関与したのは紀元会における宗教上の呪縛(じゅばく)があったからにほかならない」と指摘。ともに執行猶予付き判決を求めた。
(長野県、信濃毎日新聞社)
1933(昭和8)年に県内でも多くの農民、教員らが弾圧された「二・四事件」を題材に、長野市の映画関係者がドキュメンタリー映画の制作を準備している。戦争の影が色濃くなる中、教員たちがぎりぎりまで民主的な教育を進めようとした姿や、教職を追われるなどした検挙後の人生を、関係者の証言で振り返る内容だ。
事件は教員赤化事件とも呼ばれ、禁じられていた労働組合をつくろうとした治安維持法違反容疑で県内の農民運動関係者や教員ら約600人が一斉検挙された。これを機に県内でも軍国主義教育が広がっていったとされる。
映画は「灯(ともしび)をかざして」の仮題で、「ララ、歌は流れる−中山晋平物語」を撮った映像作家の野口清人さん(72)=長野市=がメガホンを取り、配給会社の長野映研(長野市)が制作する。実際に検挙された元教員やその教え子ら5、6人へのインタビューで構成する予定。既に事件の研究者らと意見交換したり、一部関係者への取材を始めている。
長野映研会長の石井修吾さん(81)は「今年3月に75周年の集いが茅野市で開かれると知った昨年夏から本格的に調べ始めた。言論の自由が危ぶまれる今、事件は教訓的な意味を持つ」と話す。野口さんも「検挙された人の多くは亡くなっている。今だからこそ語れる話を掘り起こしたい」と意気込んでいる。
長野映研などでつくる制作委員会は、来年3月の完成を目指して1口1万円で制作費を募っている。問い合わせは長野映研(電話026・232・1226)へ。
(長野県、信濃毎日新聞社)
自治体単位で全国一の出荷量がある「巨峰」の産地、中野市で9日、ハウス栽培のブドウの出荷が始まった。初日は農家1軒が巨峰約120キロと新品種「ナガノパープル」約20キロを金井の市農協ぶどう集出荷センターへ持ち込み、東京や名古屋、大阪に向けて出荷された。露地ものも含め、巨峰は12月まで出荷が続く。
同農協ぶどう部会は農家約520人で構成、うち約220人が計95ヘクタールでハウス栽培を行っている。早い農家は昨年10月にビニールシートでハウスを覆って栽培を始めていた。
同部会によると、原油高騰の影響でハウスの暖房費などが例年の2割増しほどになっているといい、各農家はより断熱性の高いシートで保温性を高めるなどの対策を講じているという。町田仁部会長(40)=岩船=は「販売単価が安値で推移しているのに経費がかさむ状況」と話した。
ハウス栽培の出荷は7月下旬からがピークで、露地ものの出荷は9月に始まる。9日は須高農協(本所・須坂市)でも巨峰の出荷が始まった。
(長野県、信濃毎日新聞社)
信州に合った自然エネルギー利用のあり方を考えようと、県山岳協会や県自然保護連盟など16団体が12日、長野市若里の県社会福祉総合センターでシンポジウムを開く。自然エネルギー利用の利点と、風力発電装置などが環境に及ぼす負荷の両面から識者が意見交換する。
自然エネルギーは、温暖化防止や環境保全の観点から利用が進む一方、大型の風力発電装置は鳥類への影響や景観面で、水力発電用のダム建設も環境負荷やコスト面で問題点が指摘されている。自然への影響が少ない小規模水力発電や太陽光発電、バイオマス(生物資源)も、費用対効果などの課題を抱えている。
シンポジウムには、風力エネルギー研究で知られる牛山泉・足利工業大学副学長や、県環境審議会の地球温暖化対策専門委員長を務めた高木直樹・信大工学部教授がパネリストとして出席。「信州にふさわしい自然エネルギーは何か」をテーマに討論する。県内で自然エネルギー利用に取り組む丸山幹夫・県小水力利用推進協議会副会長、小諸エコロジー・エネルギー研究会の岡本一道氏も論議に加わる。
午後1時半に開会。参加費は資料代500円。県自然保護連盟理事長で、コーディネーターを務める渡辺隆一信大教育学部教授は「賛否の立場を超えて幅広い観点から全県的な論議をしたい」としている。問い合わせは渡辺教授(電話026・238・4164)へ。
(長野県、信濃毎日新聞社)
信大山岳部の正木喜啓さん(22)=松本市、理学部4年=が、2月中旬から1カ月かけて南アルプスを単独で縦走した。南アは、長野、山梨、静岡の県境に2500−3000メートル級の山が連なり、冬季の単独登山は危険と隣り合わせ。過酷な経験を振り返り、正木さんは「毎日毎日歩くことが想像以上につらかった。体力より、負けずに歩く精神力が問われた」と話している。
2月16日、19日分の食料や燃料、テントなど約40キロの荷物を背負って山梨県早川町から入山。笊ケ岳(ざるがたけ)から農鳥岳、間ノ岳を経由し、13日目に北岳(3、193メートル)に登頂した。その後、塩見岳、荒川岳、赤石岳、聖岳、光岳(てかりだけ)と尾根伝いに歩き、静岡県側に3月18日に下山した。
後半分の食料は、事前に途中の山小屋に荷上げしておいた。1日に平均8時間歩き、直線距離で約70キロを踏破。晴れた日が多かったが、強風で身動きが取れない日もあり、農鳥岳でテントが破損するトラブルにも見舞われた。
荒川岳では「生命の危険を感じた」という。泊まる予定の避難小屋にたどり着く前に日が暮れた。尾根の岩場にはテントを張ることも、雪洞を掘ることもできない。テントと寝袋にくるまって一夜を過ごし、「不安と窮屈な体勢で午前1時から1時間ごとに時計を見て眠れなかった」。天候が良かったのが幸いした。
山岳部のOB会員約10人が10年ほど前に冬の南アを縦走したと伝え聞き、「自分たちもやってみたい」と挑戦を決めた。しかし、準備をしていた昨年夏、4人いた部員が次々に辞め、正木さん1人だけに。一時は「単独では厳しいかも」と思ったが、あきらめず、2泊3日で冬山に登るなどして備えた。
縦走直後はそれほど達成感はなかったが、OBに評価されて、実感がわいたという。「今回は歩きが主体で、技術的なレベルは高くない。今後は岩登りのような技術的なことを身に付けたい」。山岳部員を増やし、次は仲間と冬の北アルプスを縦走するのが目標だ。
(長野県、信濃毎日新聞社)